​新造船リポート

​ハートランドフェリー株式会社『アマポーラ宗谷』編

​ 2020年2月4日、稚内を母港する利尻島・礼文島航路に新しいフェリーがデビューした。その名を『アマポーラ宗谷』という。

 その由来は利尻島に自生する希少固有種の黄色い花「リシリヒナゲシ」にちなみ、ヒナゲシのスペイン語から命名されている。ヒナゲシの花言葉は「思いやり、いたわり」。この航路に就くフェリーのコンセプトとしてはぴったりの花言葉ではないか。

​ 今回は就航前の1月31日に実施された一般公開から船内の様子を簡単にまとめ、リポートしたいと思う。

アマポーラ宗谷の旅客デッキプランは2層(2階)からなる。上階は1等や2等指定など所謂、上級船室を配置し下階は2等自由席やドライバー室、バリアフリー対応の客室を充てている。

​では、順番に紹介していこう。

アマポーラ宗谷への乗客の中で一番多く利用するのがこの「2等(自由席)」であろう。名称のとおり座席が指定されていない​ため、この等級を利用する乗客は乗船した順に好きな場所を確保することとなる。乗客の多い時期にはやはり場所確保のため、乗船前より早めにターミナルへ来て、乗船口に並ぶ姿をよく目にする。

また滅多にないこととは思うが乗客が船の定員に達した際には乗船を断る場合があるので了承の旨、注意案内の放送がターミナル内に流れていた。

席はカーペット敷となっているが、これとは別に船の最後部、外甲板に同じく自由席扱いのベンチ席も設けられている。見学時は厳冬期であったためベンチ席はシートで覆われ利用できなかった。夏季などのシーズンであれば海風にあたりつつ、ここで過ごすのも良いかもしれない。

利尻・礼文航路の就航船の中ではアマポーラ宗谷が初となる2等(指定席)である。​上階デッキの船後方位置に設けられた客室である。

​事前予約にて座席が確保できるので混雑期には人気となりそう(席取りのために早くから並ばないで済むのは有難い)。

客室の前後には荷物を置けるスペースも設けられている。

上階に設けられた1等​のこちらは和室。厚めのマットレスに枕とフカフカ毛布が用意されている。

​個々の壁側背もたれ部分にはちょっとした荷物の置けるスペースがあるほか、柱部分にドリンクホルダーと電源用のコンセント、USB端子の両方を備えているのは大変重宝する。

上階の船前方に配置された1等アイランドビューシート。前方、左右に窓があり座席から移り行く景色を楽しむことができる。

左右の窓寄りの4列は座席方向をやや窓側斜めに向けて配列しているので横からの景色が見やすくなっている。また中央の座席については足元のレバーを操作すると4方向に回転して固定することができ、家族やグループなどで利用の際には向かい合わせにして利用することができるなど配慮がされている。

アマポーラ宗谷には観光バスやトラックを乗せたドライバー専用の部屋、ツアーなどの団体引率で乗船する添乗員用の部屋が設けられている。離島航路の船としては珍しくも感じるが、それだけ観光客が乗船する需要も大きく、バス・貨物トラックなどの大型車両から得る輸送収益も船社にとっては重要だということだろう。

新しい船では子供にも乳幼児を抱えるお母さんにも優しく。

船内の限られたスペースの中でこれらすべての要望を取り入れていくと設計する側はなかなか大変なことだと思う。​「キッズルーム」と「ベビールーム」が子供たちとお母さん方に喜ばれて活用されますように。

​現在では当たり前となりつつあるバリアフリー対応であるが、本船でもエレベーターの設置や車いす対応スペースを設けたりと健常者以外の乗客にも優しい造りとなっている。

また利尻島・礼文島航路については母港の稚内側をはじめ、島側のターミナルにおいても凡ての乗下船がボーディングブリッジ(人道橋)を使用して行われている点は感心した。

最後にこちらがアマポーラ宗谷での最上級客室となる​「特別室」。上階に2部屋あり「プレミアムオーシャン(写真の部屋)」と「プレミアムブルー」と名付けられている。本船では4名定員となる(他2隻は6名定員)。

部屋一部屋ごと貸切制となっており、利用人数分の2等(自由席)運賃にプラス2万円の貸切料金が必要となる。

​上の写真は「サロンスペース」。ガラス窓を介した奥にはお年寄りや体の不自由な方も利用しやすい様「優先席」を設けている。

以上がおおまかではあるが新造船「アマポーラ宗谷」の船内の様子となる。参考までに船内に掲出されている「船内のご案内」を撮影したので載せておく。

今後、北海道も春を迎え、夏から秋にかけてと島の観光シーズンが続く。大自然に恵まれた利尻島・礼文島のふたつの島は海の幸も美味しく、観光の見どころも多彩なところである。ぜひ「アマポーラ宗谷」をはじめ、ハートランドフェリーの3隻の船を利用して島を訪れてほしいと思う。

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